第十五話「登場人物達」


 ナグサ達がトラックの上で騒いでいる一方で、サザンクロスタウンの小さなハンバーガー店の隅っこでお昼ご飯を食べている二人組みがいる。
 片方は頭から芽を生やした眼鏡の少年ウェザー。もう片方は先っぽに玉がついた触角の生えた赤色の少年ホロだ。

「んじゃ、話を纏めようか」
「うん」
「モーガンは君にボク達を連れてサザンクロスタウンに行けと命令した。その命令理由とここで行う計画について、君は全て知っている」
「うん」
「だけど口外するなと言われている。それはボク等に対してもだ」
「うん」
「話せる事はお祭りワッショイというふざけた事のみ」
「うん」
「……さて、こっからが本題だ。何時になったらボク等は動けるんだよっ!!」

 バンッとテーブルを叩き、ウェザーはホロに訴える。
 一瞬他の客や店員が驚き振り向くものの、多少の間を置いてすぐに己の行動を再開させていく。
 ホロは動じず、頼んでたマックシェイクを一口飲んでから答える。

「とれさま、あいず、だす。そのとき、うごく」
「事前に話したりはしないの?」
「しない。ほろ、しってる。うぇざー、せつ、もーまんたい」
「それ、本当に信じていいの? ここに来てから丸一日は経ってるのに」
「うん。とれさま、したじゅんび、かんりょう。あと、なぐさ、だけ」
「ナグサ兄さん……。本当に、やれるんだよな?」
「うん。なぐさ、くるしむ、うぇざー、のぞみ」
「あぁ、そうだよ。結果的に魔女と手を組む事になっちゃったけど……クウィンスさんとか、大国での死者は元を辿ればナグサ兄さんのせいなんだから」

 ウェザーは大国での動乱以降、ナグサを憎むようになっていた。
 飛燕の非情な判断、クウィンスの連行と裏切り、魔女による大国の大災害、ラルゴによる切捨て、などなどと色々とありすぎた。
 あまりにも勝手すぎる人々に振り回され続ければ、彼の精神もすり減ってしまう。何かにこの思いをぶちまけなくては、体が持たない。だから、全ての元凶となったナグサを選んだ。
 そんな姿が魔女達には滑稽な姿に見えている事は知らずに。
 ホロはマックシェイクを飲み終えると、姿が見えないウェザーの連れについて尋ねる。

「せつ、どこ?」
「この街を見て回るって。昨日も見てきた癖に、飽きないもんだ」
「わかった」

 多分その理由は飽きる飽きないの問題ではない。
 その事実に気づいたのは、ホロだけだった。

 ■ □ ■

 セツは、何をすればいいのか分からなかった。
 自分はどうしてここにいるのだろう? どうしてこんなことになったんだろう?
 心が落ち着かない。グチャグチャになっていく。思い出せば思い出すほど、辛くなってくる。
 友達を増やそうと思って飛び出して、新しい友達を守る為に魔女と戦って、本城の騒動に巻き込まれて、同じく巻き込まれた少年が壊れだして、それを放っておけなくて、ここまでついてきた。
 ほとんど流されるままだった。魔女が起こした狂乱の流れに巻き込まれ、新しい友達を守れたのかすら分からなかったまま、今ここにいる。
 否定の魔女トレヴィーニの部下であるホロの導きによって。
 自分は何時まで魔女の掌の上で踊るのだろうか? 自分は結局、魔女によって流されるままなのだろうか? 魔女が起こす惨劇を止める事は、出来ないのだろうか?
 後悔が頭の中を駆け巡り、セツの心を締め付けていく。

 セツが今いるのはサザンクロスタウンにある図書館前。彼はそこの小さな段差を椅子代わりにして座っているのだ。図書館から出ていく人々は、セツを気にせずに帰路を歩む。
 空を見上げると、何処か淀んだ色の雲があちらこちらに見える。まるで、今のセツの心を表しているようだ。特に、今にも雨が降りそうなところが。

「何で、こうなったんだろう」

 無意識に言葉を漏らす。答えなんて返ってこないのは分かっている。ただ、胸の内に秘めているだけでは辛くてたまらないから。
 けど、声にしてもただの自己満足にしかならない。

「何がこうなったの?」

 筈だった。
 セツのこぼした言葉を、誰かが拾った。元気そうな男の子の声だ。
 顔を戻し、いつの間にか隣に座っていた男の子に体を向ける。そこにいたのは、不思議な体躯をしたカービィだった。
 ヘッドホン付の大きな飛行帽子からは大きな耳がはみ出ており、背中には申し訳ない程度の翼と大きなトカゲに類似した尻尾を生やしている。頬に☆マークが左右両方についているのが、特徴的だ。見た限りでは動物型だろうが、生憎とセツは何の動物がモデルなのかは分からない。
 いきなり話しかけられ、困惑するセツ。

「え、あの……どなたですか?」
「僕、ポチ! 連れがちょっと出かけちゃったから退屈なんだ。一緒にいていーい?」

 元気に笑うポチの姿は全く悪意が無く、見てるこっちが和んでくる。
 セツはポチの笑顔を見て、心の中にあったモヤモヤが少し薄らいだ気がして、小さく微笑みながら頷いた。

「いいですよ。僕も特に用事があるわけじゃないので」
「ありがと。そんじゃさ、頭の上に乗ってる蜜柑食べていーい?」

 涎を口の端から垂らしながらの要望に、慌てて頭の上の蜜柑を抑えて首を横に振る。

「だ、駄目ですよ! あ、人参ならありますからそっち食べます!?」
「人参きらい。それよりも蜜柑がほしー!」
「え、あ、こら! のしかからないでー!!」

 何処からともなく出した人参も無視し、ポチはセツの蜜柑を取ろうと必死。セツは押し倒されてしまい、片手で蜜柑を抑えて片手でポチの攻めを抑えなきゃいけない状態に。
 ぎゃーぎゃー叫ぶ奇妙な二人に通行人達は見ないフリ。ってか避けてます。けど二人は全くもって気づかない。
 そんな時、図書館から出てきた一人の男性が呆れた様子で二人に話しかけてきた。

「何してるの? そこで騒がれると、ちょっと邪魔なんだけど」

 その声に気づき、二人はそのままの体勢で男性を見る。ホロやポチとは違った意味でおかしな姿をした男性だ。
 青と緑の宝石がついた大きな黒い帽子(長い尾のような先端には顔のような模様まである)を被っており、足は珍しい事に色違いだ。しかも両方共に顔に見える模様が描かれている。
 彼自身の目も異なっており、オレンジの体躯と合わさって全体的に不思議な魅力を見せている。
 今まで出会った人達とは何かが違う。セツは彼を一目見て、本能的に悟った。
 何だろう、と考えるよりも早く男性に睨まれてしまい、セツは慌ててポチを退かしにかかる。

「ち、ちょっと退いて! 退いてってば!!」
「蜜柑はー?」
「蜜柑なら、あげますから! 早く!!」
「はーい!」

 サッと蜜柑を渡し、ポチに自分の上から降りてもらう。ホッと一息つきながらも、代わりに人参を頭に乗っけるセツ。その横でポチは意外にも丁寧にも蜜柑を食べている。
 まだ男性が呆れたような目で眺めているのを見て、セツは慌てて立ち上がってぺこぺこ頭を下げる。

「あ、すみません。騒がしくしちゃって!」
「もう煩くしないでね。この街の図書館、思った以上に人多かったし」
「え? えーと、あなたも旅行者ですか?」

 街の人にしては少々違和感のある話し方に首を傾げる。
 男性はこくりと頷いて答える。

「まぁ、そんなところ。でも待ち合わせ相手が中々来なくてね、暇潰しに色々見てまわろうかなって考えていたところ。そういう君は?」
「えーと……知り合いについてきました」
「そうなんだ。その知り合いって、友達なの?」

 男性の何気ない質問に、セツは答えるのを戸惑った。
 ホロに関しては魔女の手下。ウェザーに関してはあまり仲が良いとはいえない、ただ気まずい状態が続いている。敵対関係ではないにしても、友好関係と断言する程の力はあまりにも無さ過ぎる。
 どう答えようか悩むセツを他所に、質問した男性はそのまま立ち去ろうとする。セツは慌ててとめる。

「あ! ちょっと何処に行くんですか!?」
「何処って、散歩だけど? ボクはもう答えを見たからね」
「答え?」
「うん。まぁ、君がその位置で満足してるなら……ボクは何も言わないけどね」

 男性はそう言うと階段を下り、図書館前から立ち去っていった。
 セツは男性の言葉が気になってしまい、蜜柑を夢中で食べるポチを置いていって、彼を見失う前に追いかけた。
 これまで出会った人々とは何処かが違う、不思議な男性を。

 ■ □ ■

 男性はペースを変えることなく、歩いていく。目立つ風貌をしているというのに、人の中に紛れ込んで自然にその姿を消しながら、歩いていく。
 その後ろを必死でセツが追いかけてきている事を知りながら。

「おい、追いかけてきてるぞ。あの雪だるま」

 “帽子の尾”がぼそっと呟いた。その声に何人かが振り向くけれど、皆が皆空耳か幻聴と思って気にせず歩いていく。
 男性は驚く事無く、些細な会話を始めるように答える。

「勝手にさせれば? 彼があの氷の鬼神だって事は分かってるし」
「それって否定の魔女関係じゃん。何で話しかけたのさ」
「さすがに否定の魔女は勘弁! あの人、めっちゃ怖いじゃん」

 今度は彼の“両足”がそれぞれ口を開いた。最初は“左足”、次が“右足”だ。またも何人かが振り向くけれども、やっぱり誰もが幻聴と思い込んでスルーする。

「ボクだって魔女と係わり合いになるのはごめんだよ。でも、それと対峙した勇敢なる氷の鬼神についてはちょっと気になってね」
「……気になるとは?」

 これまで話を聞いていた“帽子”が他者に聞こえないよう、小さな声で尋ねる。今度は聞こえなかったので、誰も振り向かない。
 男性はその質問に簡単に答えた。

「魔女と同等に戦い合える氷の鬼神が一体何なのか、だよ」

 そう言って、フー・スクレートは怪しい笑みを浮かべた。

 ■ □ ■

 サザンクロスタウンの中でも大きく人気がある図書室。“読みすぎ注意!”という張り紙が壁に貼られているぐらい、ここは来る人が多い。
 その一角、窓際のテーブルにて本を読まずに話し合う二人の男女がいた。

「予想はしていたけど、大国に魔女が襲来した直後に『戒厳令』が発動した。これは一言で言っちゃえば、街全体の冬眠。最低でも航空機は全部行動不可。本来なら皆自宅謹慎なんだけど、外に出てやらなきゃいけない事が沢山ある。だから今、たっくさんの人が外に出ているの。それでも、航空機は絶対動かない。戦争で壊されたくない、利用されたくない、ってのが理由かな? このサザンクロスタウンって昔から戦争に関しては、潔癖すぎるぐらい毛嫌いしてるし」
「……えーと、つまり?」
「つまり、否定の魔女がいる限り三日月島には行けないって事。豪鉄ったら、こんなタイミングでやるなんて空気が読めてないなぁ。いや、それがサザンクロスタウン的には合ってるんだろうけど」
「何すか、それえ!?」

 女は男の説明を聞き、驚愕と落胆が入り混じった声を上げる。
 すぐさま図書館の人々に「しーっ!」と静かにしろポーズを向けられ、女は慌てて平謝り。
 顔を赤くして恥ずかしそうに俯く彼女に対し、男は表情を変えずに口調だけ呆れたように言う。

「何やってるの。ここ、図書館だよ?」
「だ、誰のせいだと思ってるんすか」
「君自身でしょ、絵龍ちゃん」
「ううう、クレモトさん酷い……」
「あっそ。だから何? 今とは関係ないでしょ」

 ズバッと言い切られ、返す言葉が無い女こと絵龍。反論しようにも男、クレモトの話術の方が圧倒的に上であった。

 本来ならば彼女は大国で治療される立場。
 トレヴィーニに扮したモザイクと戦闘を行うものの、大差で敗北してしまい、傷の治療の為に本城内部の治療室で治療を終え、絶対安静の立場として暫く入院する筈だった。
 だけど、クレモトはそんな彼女の前に唐突に現れた。
 何でも彼曰く「役者が一箇所に集まり始めている」とのこと。絵龍は出来れば他の人にしてほしいと頼むものの、クレモトは聞く耳持たず。

『一緒に行こう。真実を知る為に』

 大きく開いた窓に腰掛け、夕暮れの淡い光が入ってくる中、彼は彼女に手を伸ばす。
 どこか人を魅了させる絵画のような光景を見て、絵龍は素直に綺麗だと思った。彼女は、その光景に魅了されてその手をつかんだ。
 そんな理由で彼と一緒に行きたいって思ったのは内緒だ。

 そんなこんなで本城を抜け出し、クレモトに連れられてサザンクロスタウンまでやってきた絵龍。
 しかし結果は先ほどクレモトが述べたとおり、航空機は全て動かない状態。三日月島に行く手段が絶たれてしまったのだ。
 クレモトの目的である「戦争の真実」を知っているであろうマナ氏と遭遇する手段も無くなり、絵龍は本当にこれからどうするのだろうと不安に思う。
 だがクレモトは平然とした様子で話を進めていく。

「話を戻すよ。現段階では三日月島に行く方法が確かに失われた。まぁ、無いってわけじゃないけど」
「他にもあるんすか!? ならそれを……」
「君が巨大なお椀の中に乗せられ何日も何日も何日も何日も何日も波に揺られて大丈夫なら行くよ?」
「……え?」
「いや、だからね。巨大お椀船なんだよ、その他の手段。それぐらいしかない」
「えーと、まじですか?」
「マジだよ。ブルーブルーやレッドラムに行けば他にも手段はあるかもしれないけど、詳しい事はさすがの僕でも分からないからね」

 他に行く手段はある。だけど、相当危険。行くのはやめておけ。
 遠まわしにそういうクレモトに、絵龍は言い返す気力を失って机にもたれた。もう家に帰りたい。でもこの人、帰してくれるかわかんない。

「あっ、そういえば大国防衛隊の代表者がサザンクロスタウンに立ち寄るんだったっけ」

 クレモトはというと、呑気に話題を変えていた。

 ■ □ ■

 サザンクロスタウン空港の横にある大きなエアポートには、今ヘリコプターが着陸しようとしていた。
 ヘリコプターによる激しい風を浴びながら、守護担当の豪鉄以下数名が本城からの使者が降りてくるのを待つ。
 否定の魔女襲撃事件以降、飛燕が即座にサザンクロスタウンと連絡を取り合い、数名の代表者をサザンクロスタウンに送って魔女による第二の惨劇が起きる前に対処する事になった。
 その際に派遣されたのは五番隊隊長コーダ、五番隊副隊長補佐官セラピム、一番隊副隊長アカービィ、特別機械部隊工作員ログウ、一番隊特別隠密部隊隊員風神桜花の五名となっている。何ゆえこのようなメンツなのだろうかと豪鉄は疑問に思うものの、飛燕は「もしもの時の為」としか答えてくれない。連絡だけならば隊長格を使うほどでもないと思うのだが。
 ヘリコプターは何事も無く着陸し、その中から大国防衛隊代表者五名が降りてくる。
 豪鉄は代表者であるコーダと簡単に挨拶をかわし、彼らを空港内の特別客室へと案内する。その間、軽く世間話をしたり、本城で起きた笑い話などを聞いたりした。
 特別客室に案内して彼らを椅子に座らせると、豪鉄は向かい側の椅子に座って話を行う。

「さて、否定の魔女がサザンクロスタウンに現れると聞きましたが我々は具体的にどうすれば?」
「本城での判断は住民達全員をサザンクロスタウンから避難させることとなっています。現状では可能でしょうか?」

 それに答えるのは代表者のコーダ。残りの四名は黙って話を聞いている。
 少々無茶な要求を突きつけられ、豪鉄は『戒厳令』を出し、島民に入ろうとしているサザンクロスタウンで行うには難しいと判断する。

「難しいですね。現在『戒厳令』を出した為、行うとしても色々と手間取るかと」
「なるほど。それなら早々に完全自宅謹慎をお願いします。可能ならば今日中に」

 コーダの新たな要求を聞き、豪鉄は疑問に思う。
 何ゆえここまで住民を避難させようとしているのだろうか。否定の魔女が復活し、尚且つサザンクロスタウンにて災厄を起こすというのは聞いている。
 だが否定の魔女は無反応、無関心な相手にはそれ程害ではない。敵対も崇拝もせず、ただただ災害が去る事を大人しく待っていれば、彼女は彼らをつまらない相手と認識して大きな災害を起こす事無く去っていく事が確認されている。
 だからこそ、否定の魔女が消え去るまで大人しく待ち続けようというのが豪鉄の判断だ。その判断には本城も肯定しており、何も言わない筈だ。それなのに今回に限って口を挟んできた。
 そうしなければいけない何かがある。そう理解した豪鉄はその事を尋ねる。

「出来なくはないですが、一体どうして? サザンクロスタウンにどういう災害が訪れるので?」

 尋ねられたコーダは表情を険しく、その理由を話す。回避手段があまりにも少なく、あまりにも酷すぎる惨劇の名前を。



「ダイダロスの軍勢です」



 それは、サザンクロスタウンの滅びを予言していた。

 ■ □ ■

「ねぇ、シャラ」
「なぁに?」
「ウチがずっとずーっと出てこなくても、一緒にいてくれる?」
「もちろん。私たち、友達なんだから」
「……ありがとう」

 何処かの民家では親友の少女二人がドア越しに話す。

「ナース先輩、それおかしいですよ!」
「あら、何がよ」
「あたしはマリネなんかタイプじゃないです。それにどーせあたしもナンパした女の子の一人でしょうし」
「うっわー、マリネご愁傷様」

 大きな病院の屋上で先輩後輩看護士がとある男について語る。

「サザンクロスタウンに一体何があるんだ?」
「回収だよ。回収」
「何の?」
「エアライドマシンのパーツだ」

 町外れでは何でも屋の男が手がかりの写真を持って、とある物を探す。

「こんばんは、ジョーカー」
「あひゃ? あんただれ?」
「私は空刃の魔女フル・ホルダー。とあるデスゲームのスタッフです」
「……デスゲーム?」
「はい。魔女が主催する“ナイトメアシティ”という名称のデスゲーム。あなたはそのハンター役の一名として選ばれたのです」

 誰も入ろうとしない場所にて、空刃の魔女はトランプ使いを引き入れる。

『ほぉ、これはかつての惨劇に比べて……面白い事になりそうだ』
「だろ? 九年ぶりの惨劇を引き起こせるなんて、俺は楽しみで仕方が無いよ」
「夜明みたいに滅ぼすだけだろが、テメェは」
「うっさい。そういう貴様はどうなんだ?」
「俺か? そうだな、俺はトレヴィーニが気に入っているナグサとやらに喧嘩でも売ってみるかね」

 サザンクロスタウンではない場所。そこでは魔女に魂を売った男達が、これより行われる惨劇を待ち遠しく思う。

「粗方の条件は整った。貴様もここに来た。さぁ、ナイトメアシティの開幕だ」

 そして、否定の魔女は笑う。南十字が悪夢に染まる瞬間が楽しみで笑う。



 次回『NIGHTMARE CITY』














  • 最終更新:2014-05-28 00:06:16