第六十二話「虚空歌姫~イツワリノウタヒメ~」

 ■ ◇ ■

 暗き色の羽衣を纏い、青と緑の輝きをさりげなく見せつけながら舞い踊る姿はまるで夜に浮かび上がる蝶のよう。狐の体をしているというのに、それさえも気にさせない程の優雅さによって人々の目を一身に受け続ける。羽衣が両足に包まっているというのに、それさえも舞いに利用するところはさすがと言わんばかりである。
 激しい音楽と多くの言葉を並び立てた歌と違い、彼女が舞台で行っているものはコンサートとあまりにもかけ離れていた。優しく、哀しく、でもヒトを思える歌を歌いながら、静かに踊る光景は真の意味で「歌葬」と言っても過言では無かった。誰もが静かに彼女に注目する。若くして亡くなった歌姫に、鎮魂歌を送る少女を。
 踊る、踊る、踊る。それは整っているように見えて、実際は嘆くあまり道が見えなくなった迷い子の如く踊る。華を求め、ふらりふらりと飛ぶ蝶の如く踊る。あぁ、何とも儚く、切なく、麗しき踊りの姿。決して派手とはいえない、だけども人の心をしっかりと奪い取る静かなそれは正に素晴らしいとしか言いようが無い。

「綺麗やな……」

 現にクーは友人達の心配を忘れ、注目するばかり。テレビでも見た事が無い美しき舞を踊る少女から目を背けろなんていう方が無茶な話に近いわけだが。ハムやらデビちゃんやらあだ名で呼ばれていた男もまた彼女同様注目しており、先ほどまでの熱意ある応援が嘘のように感じられる。
 その一方、板チョコをかじりながら見ていたねずが不思議そうに呟く。

「でもさ、おかしくないかな? サプライズゲストが出るのってもうちょっと後と思わないかな? 何か変な事でもない限りこの予定変更は違和感があるんだけど」

 クーはそれを聞き、同じ疑問を抱いた。これが例のサプライズゲストなら、クライマックス辺りで出すのが道理だろう。
 最初こそ三人は少女の出現に驚いたものの、サプライズゲストと聞いたら納得する事は出来た。実は男のメル友の知り合いが芸能関係でソプラノに近い人物だったらしく、メル友がしつこく聞いた際に「サプライズゲストが登場する」というタレコミを手に入れることが出来たのだ。しかしそのゲストが誰なのかはさすがに分からなかったが。
 今はここにいないゼネイト達も含め、グループ全員がサプライズゲストの出現について知っているもののこのタイミングはさすがにおかしいと思った。ある程度時間がたったとはいえど、これでもまだコンサートの序盤なのだ。
 なにやらおかしな話になってきたな、と思いながらクーは男に尋ねる。

「ハム、どー思う?」
「確かにおかしい。予定変更のアナウンスも無かったし、一体何があったんだろ? 後、ハムじゃないから」
「そう言うんやったら無駄に長ったらしく覚えにくい上、言いづらい名前をお前につけた親恨め」

 名前に関する訂正をしてくる男に対し、クーはキッパリ言い切った。男は撃沈した。……尚、読者の皆様と執筆者の為に説明するとこの男はオリカビでお題奇跡№86その人である。その為、これからは86ではなく、一番良く呼ばれるだろうハムと表記していく。
 ハムは凹みながらも、この話をふってきたねずに尋ねる。

「でさ、ねず。一体何が言いたいの?」
「んー。何か声が聞こえるんだよね。泣き声っぽいの」
「ゲッ、ちょっと幽霊の話せんといてぇな! レクイエムやとマジ洒落にならへんもん!」

 ねずの言葉を聞き、クーがゾッと顔を青ざめながら訴える。彼女はこの手の話題が苦手だから、青くなるのも仕方が無い。それにレクイエムは元々死者に冥福を送る為に創られた街なのだから、そういうもんが出てきても全く持っておかしくない。
 それにチョコを食べると何故か頭が冴えてくるねずは基本的に友達に嘘をつかないし、正直に物事を口にする。だから今回の件もマジに近いからクーが怯えるのもごもっともな話なのである。ハムはどうやって話を繋げようと考えたその時、ねずがまた呟いた。

「さっきから聞こえてくるの。凄く小さいけど、誰かの泣き声が耳に入ってくる」
「ひいいいい! 頼むから言わんといてえええ!!」
「それ、どっから聞こえるの?」
「多分、モニター。マイクに紛れてるんだと思う」

 半泣き状態になってきたクーをスルーし、ハムはねずに尋ねる。ねずは大きなモニターを見つめながら答える。その言い方からねずの耳に入ってきてる泣き声はスピーカーから聞こえているのかと判断した。
 舞台の上で踊っている少女が奏でているのは静かな歌だから、耳をすませてみる。ねずは特別霊感が強いタイプじゃないし、能力もそういったものじゃないから自分でも聞き取れる筈だ。だから魔力を軽く蓄えながら流れてくる歌を聞いていると、耳に入ってきた。

『……っ! ……っ!!』

 声になってない、かすかな泣き声が、確かに聞こえてくる。凄く小さなものだから注意深く聞かないと少女の歌に覆われて、老若男女の区別をつける前に忘れてしまいそうだ。
 本格的に出たんじゃないのかとハムは考えながら、ねずとクーの方を見る。クーは耳を両手で強く抑えつけ、俯いている状態だ。それを見た86は察する。

「あー、クーにも聞こえたんだ……」
「ううううううう。リアル怪談は嫌やーっ! あぁもう、何なんやアレ~!」
「幽霊じゃないの?」
「言うなああああ!!」

 ねずの一言に半泣き状態で小さな声で怒鳴るクー。さすがにコンサート中なので最低限のマナーは弁えているものの、前後の席に座っている人達は煩いなぁと顔を歪ませている。
 それに気づいたハムは軽く平謝りした後、クーを落ち着かせようと思って話しかけようとする。その矢先、クーの持っているケータイが揺れ始めた。タイミングの悪い事に着信が入ったのだ。
 ハムは大慌てでケータイを取り、切ろうとするのだがボタンを間違えて通話状態にしてしまう。その為、ケータイから親友の叫び声が響く前にハムは己のヘッドフォンをずらして耳にくっつけた。

『おい、クー! そっちどうなってる!!』

 予想通り、耳にくっつけた直後にゼネイトの叫び声が響いた。相変わらず声がやかましいと思いながらも、ハムは小声で返す。

「うるさい。音量下げて。今、会場だから」
『ハム!? んなこたぁ分かってる! どんぐらい進んでるかってところだ!』

 焦りが入った怒鳴り声が外に漏れてない事を祈るものの、クーとねずには聞こえてしまっているらしく「何事だ」と己を注目している。ハムはちゃっちゃっと話を切り上げようと思い、答える。

「今、サプライズゲストが歌ってるところ。すっごい静かな歌でね、踊りが凄く上手いんだ。シアンっていう狐の女の子なんだけど、僕もその子見た事が無いから新人のアイドルだと思うんだ。後、ハムじゃないから」
『シアン? おいおいおい、マジで? マジでか?』
「マジだよ。すっごく綺麗な歌声で、聞いた事の無い歌を歌ってるんだ」

 歌と言ってふと、メロディは聞こえるものの歌詞が無い事に気づいて体を傾げる。普通は歌詞がある筈なのだが、何故かそれが無い。しかしそれさえも不思議に思わせないほどの舞と歌声だから今まで気づかなかった。
 もしかしてあの歌、何か不思議な力もあるのかと不思議に思っているとゼネイトが尋ねてきた。

『なぁ、クーとねずもそこにいるのか?』
「一応。で、どうしたの?」
『……簡潔に言ってやるから二人にも伝えておけ。俺等の人生至上最高最悪の大トラブルが発生して、以後係わり合いになるかもしれねぇってな』
「はぁ? 何さ、交通事故でも起こしたの?」
『大国と反乱軍の戦いに巻き込まれた。しかも否定の魔女が大いに関連してるとんでもねぇ戦い』

 無駄に真剣な相手の言葉を聞き、ハムは「またか」と思いながら返す。だが返ってきた言葉はそんな小さなものとはかけ離れていた。
 ハムはこんなところで聞くとは思わなかった大きすぎる意味を持つ単語に頭が追いつけず、聞き返してしまう。

「…………ちょっと待った。今、聞き覚えが無い且つ聞きたくない単語が複数出てきたんだけど。反乱軍とか否定の魔女とか」
『文句なら紗音に言ってくれ。俺もタロウもこんな事になってるなんて知らなかったっての』

 少々不機嫌そうなゼネイトの口調から見て、彼等もこの事について納得しかねているのだろう。それに紗音の名前が出てきたところから彼女が原因で巻き込まれたのも察する事が出来る。それにしても大事過ぎるものに巻き込まれていないか。
 ハムが「とんでもない事態になってきてるな」と思っていると、ゼネイトが話を切り替えてきた。

『とにかく話戻すぞ。シアンって狐の女の子が歌ってるんだな? 今!』
「う、うん。そうだけど……それがどうかしたの?」
『何か異常は起きたか!? 幽霊関係の!!』
「へ!? いや、えーと……かすかに幽霊の泣き声が聞こえる程度で……」
『そんなちっこいんじゃなくて、大規模のだ! まだ起きてないのか!?』

 意味が分からない。幽霊関係の大規模な異常と言われても特に変わった事は起きていないし、あると言ったらさっき言った幽霊のことととんでもない事に巻き込まれている友人の事ぐらいだ。
 もしかしてこのサプライズゲスト自体に何かあるのだろうか……? ハムが様々な事態を繋ぎ合わせていこうと思考する中、クーも含めた無数の悲鳴が響いた。

「ぎゃああああああああああ!?」

 その悲鳴に何事だとハムは振り返り、絶句する。何時の間にか、いたのだ。半透明の体を持つカービィが、所狭しと存在していた。生気も無く、虚ろな瞳で会場を見つめるカービィが何体も何十体も何百体も、否、それよりもずっとずっと多くの者達が存在していた。その者達のほとんどが武装しており、その中でも多いのが笠のような兜をつけた者だ。ハムはそれが夜明国の兵士の特徴なのを知っていた。
 あまりにも異常すぎる事態にハムは目を見開き、呆然と呟く事しか出来なかった。

「何……コレ……」
「……歌、まだ続いてるよ」

 同じように呆然としているねずが会場を見て呟く。その言葉を聞いたハムが慌てて会場に目を向ける。そこでは、異常事態が起きているというのに優雅に踊り続けている少女の姿があった。だけどその舞はふらつく蝶というよりも、全てを燃やし尽くす炎の如く激しく波のあるモノへと変貌していた。まるで観客の動揺を表してるかのごとく。
 まさか、この少女がこの事態を引き起こしているのか……? ハムがそう考えた時、大慌てで携帯電話の向こうにいるゼネイドに向かって言う。

「たった今、起きたよ! 夜明国の亡霊とかそんなのが沢山出てきて……!」
『そうかい……! お侍さん、カーベルの歌が発動しちゃったみたいなんだ!! このままだと間に合わない! ……え? ちょ、え、それマジでやる気!? ちょ、タロウの能力だから確かに可能だけどそれあり!?』

 己に答えた後、「お侍さん」という人物に説明しているゼネイトだが大きい彼の声から何か嫌な予感を感じた。タロウの能力の件を踏まえると凄まじく嫌な予感しかしない。
 とにかくこっちにも分かるように説明を聞こうと思い、ゼネイドに再度問いかけようとしたその時、酷い眩暈を感じた。否、眩暈というよりも気を失いそうな激痛を感じたというべきか。本当に唐突に体の内側が苦しくなってその場に倒れこんだ。これはハムだけでなく、クーもねずも翻弄される観客も出入り口から逃げようとしていた観客も同じ。
 苦しい。痛い。心臓をわしづかみにされたような激痛が耐えない、体が動かない、苦しくて苦しくてたまらない。一体何が起きているんだ、自分の体に一体何が起きているんだ。
 横たわる体の中、クーは気づいた。床の一部が光っている事に。同色だし、会場自体が明るいから今まで気づかなかったものの床の一部が光っている。倒れた目線では良く見えないものの、曲線を描いているそれは魔法陣なのではないかと思った。現にわずかだけど魔力を床から感じているのだから。意識するか今みたいに密着しないと気づけない程度の微量の魔力だからか、今まで気づけなかった。間違いなくこれが原因だ。
 だけど気づいたところで何も出来ず、意識が薄れていく。もやがかかっていく。何も見えなくなる、聞こえなくなる、感じなくなる。ぽとりとハムの手から携帯電話が転げ落ちた。

『おい、ハム! どうした!? クー! ねず! 誰か聞こえないのか!!』

 ゼネイドの声が携帯電話から聞こえてくるものの、誰にも聞こえない。虚ろな亡霊達と倒れこんだ観客の誰にも聞こえない。亡霊達はただただ中央にいる少女に注目するばかりである。
 天女を思わせる装飾品を纏い、蝶の如く舞った狐の少女――シアンの体を乗っ取ったフー・スクレートは一時的に歌を止めると静かな声で告げた。

「さぁ、ボク等反乱軍の剣となれ。否定の魔女トレヴィーニと大国に向ける大いなる剣となれ。意識無き魂達よ、ボク等の為の剣となれ。それこそがボクの願いだ」

 ――反乱軍の狙いこそ、これにあったのだ。カーベルの歌を使い、死者も生者も操作する事。本来カーベルの歌は死者にしか適応されていないものだと認識されていたのだが、やり方を工夫すれば生きている者にも充分通じる事が判明したのだ。だから組織ぐるみで関わりのあるマスコミ・会場関係者達と協力し、この大きすぎる作戦を行ったのだ。もちろんシアンの存在が無ければ成立しないものであったのだが、彼女自身の弱さとカーベルの歌との関連性とレクイエム自体が反乱軍拠点の一つであったから拉致自体は簡単なものであった。その後フーの持つ能力でシアンの体を乗っ取り、記憶を読み取ってカーベルの歌を歌いきって今に至る。
 それなりに強行突破な部分があるものの無事に成功さえ出来れば、後はどうとでもなる。元々「反乱」なのだから民が武器を手にする事は何のおかしいことでもないだろう。何処か矛盾を孕んでいる気がしなくもないが手段を選んでいては、否定の魔女に勝利する事は敵わないから気にしてはならない。
 だから無数の皮を被った魔導師は妖しい笑みを浮かべ、契約したとおりに動こうと考えて口を開いたその時だった。

『もうやめてぇ! シアンちゃんを、解放して……!!』

 己のすぐ傍から女の声が聞こえた。その声は青年にとって聞き覚えが無いけれど、少女にとって凄く聞き覚えがあるもの。涙交じりで枯れているその声は青年からすればみっともなくて、少女からすれば嬉しくて悲しくて。
 青年は振り返る。そこには翼のような耳を生やし、夜空模様のバンダナをつけた半透明の女――シアンの親友シャラが魂だけの姿でそこに浮かんでいた。

 ■ ◇ ■

Bパート

 彼女の姿を見たフーは少しだけ目を見開く。何せ高度の魔導師である自分が気づかなかったのだから。面識はほとんど無く、存在を知ったのも彼女自身が死んだ後に近いとはいえど亡霊の気配ぐらい読めると思っていたのだが。
 歌に集中しすぎていたのかと思考しながら、フーはシャラに向かって問う。

「……何時の間に」
『大国の時からずっと一緒にいたよ! シアンちゃんが、歌ってたから……だから……』

 涙混じりに訴える彼女の言葉を聞き、フーは目を細める。大国の時というと恐らく三日月島から戻ってきて、各自分離するまでの短い間の事を言うのだろう。あの時からいたというのならたいした憑きっぷりである。
 思わぬ新事実発覚にフーは妖しい笑みを浮かべる。

「へぇ、そりゃ面白い。カーベルの歌は術者の心に反応して色んな効果を与えるんだ」
『お願い! お願いだからシアンちゃんから離れてっ!! シアンちゃんを苦しませないで……!!』

 シャラが強く訴えてくる。その眼からはぼろぼろと涙が零れ落ち、傍から見ていれば誰もが親友思いの彼女に同情するだろう。しかしその親友を乗っ取った彼はそんな優しい心を持った人物なんかではない為、冷たく言いきった。

「それは出来ない相談だよ。彼女の中にあるカーベルの歌は今後必要になってくる代物、それをキミがお願いしただけでどうにかできるものでもない」
『どうしてこんな事をするの……? 戦争が終わったのに、どうして反乱なんてするの!? しかもこんな時に!!』
「こんな時だから、じゃないかな? ボクも雇われているだけで詳しい事は分からないんだけど、漁夫の利狙いとかもあったり……。あ、でもどうなんだろ。一部の人、大を切り捨てて小を生かすタイプだし」

 お人好し過ぎる雇い主の一人を思い浮かべながら、フーは答える。その答えにシャラは唇を噛み締め、悔しい思いと悲しい思いを複雑に絡み合わせながら訴えた。

『そんな事の為にシアンちゃんを利用しないで! シアンちゃん、凄く苦しい思いしてきたのに……傷つけないで……! シアンちゃんはあなた達の玩具じゃないのよ!!』

 涙を浮かべ、必死になって友人の危機を救おうとする彼女を見たフーはサザンクロスタウンの時に出会った雪だるまのような彼を連想した。だけどただそれだけの事だとフーは割り切った。

「……友達思いなのは結構。でも、ボクはそういうの好きじゃないんだ」

 フーがシアンのものとは異なる瞳でシャラを見つめながら、シアンの声だけれどもフーの声だと思わせる妖美なもので告げた。それが合図となったのか、紫色の左足から同色の気体が湧き上がってシャラ目掛けて突撃した。
 シャラは咄嗟にかわそうとするものの気体はすぐさま彼女の全身を包み込み、大雑把に縫い付けたような口を大きく開いた。彼女は自分が何をされるのか理解し、逃げようとするけれども三日月模様に笑う瞳と大口を持つ紫の気体――レフトはそれをやられる前に、ごくりと飲み込んでやった。
 見事に幽霊少女を飲み込んだレフトにフーは軽く拍手を送った後、感想を聞く。

「お味はいかが?」
「美味かったぜー。ちょっと塩辛い部分あったけど」
「それはよかった。で、飲み込み? 噛み砕き?」
「飲み込み。非常食にまだ蓄えるつもり」
「そう。それじゃ早く予定を――」

 定位置に戻っていくレフトと会話しながら、フーが本来の目的に戻ろうとするのだけど唐突に動きが止まった。一体何が起きたとレフトとライト、王冠に変化したアンダー、羽衣に変化したセンターが主に注目する。フーは暫し呆然とした様子でその場に立ち止まっているかと思えばキョロキョロと会場全体を見渡し、徐々に表情を強張らせていく。

「ふ、フー? 一体どうしたのさ?」
「催眠状態に叩き落としたからって何やってんだよ?」
「おーい、まさかお前が幽霊ちゃん食う気だったんかー?」
「……まさか」

 三体が主の様子に不思議がり、一体が嫌な方向で察してしまう。一体、つまりアンダーが察した事が正解だと言わんばかりにフーは震えた声で呟いた。

「……しゃら、は……?」

 それは何を考えているのか分からない妖美な魔導師のものではなく、カーベルの歌を唯一歌える狐の少女のものだった。
 四体の使い魔がその声を聞いた途端、すぐさま己の魔力を使って彼女を拘束しにかかる。センターは羽衣で全身を、レフトとライトは足を金縛り状態にさせ、アンダーは彼女自身を固定する。

「ひっ!!」
「黙ってろ、小娘! ったくフーの奴、主導権とられてるんじゃねーっての!!」

 一番体に実感のある羽衣の拘束にシアンが悲鳴を上げる中、センターが怒鳴りつける。その一方、アンダーがレフトとライトに確かめる。

「レフト、ライト、足の方はどうだ?」
「大丈夫だ。キッチリ支配してやった! すっげー楽勝だったから拍子抜けだけど」
「フーの魔力は残ってるから多分この子をどうにかすればフーは戻るよ」
「そうか。それなら早々にやるだけだ」

 両足の答えにアンダーが頷いた後、彼女の思考に触れようと意識を集中させる。全ては己の主を引きずり出す為に。

 シアンは困惑していた。シアンは何が何だか分からなかった。
 いきなり仲間が裏切ったかと思えば、その人に凄いムードの中でファーストキスを奪われた。しかもその直後に全身ドロドロにされた挙句、体を乗っ取られた。ぼんやりする意識の中、己の体を乗っ取った彼が何をしてきたのか見てきて、理解が追いつけなかった。

 どうして夜明の兵士達が魂となって己を見つめているの? どうして観客の人々が倒れているの? それに明らかに分かるマイクのセットとかカメラとかあるし、これってもしかしなくてもオリカビヘッドラインでやっていたアレなの? マスコミ側が勝手に勘違いしてセットしたソプラノ追憶コンサート? あぁ、それなら、それならテレビに映されている? この悪夢を? うちが引き起こしてしまった、この光景を? 嘘。嘘。嘘。嘘。嘘!! なんで、どうして、こんなことに? こんなのウチは望んでいなかったのに。ウチが望んだのは、ウチが望んだのは、力と完成と、彼女だけなのに。ウチの名前を読んでくれた彼女は何処? 死んでも心配してやってきてくれた親友は何処に行ったの? あぁ、そういえば彼女は、この紫に変わった足の化け物に、くわれた。くわれた? くわれた、ってダイダロスの時のように? あの魔王と悪魔どもの手で殺された時と同じように、またシャラは、わけのわからない連中のせいで、死んじゃったの? うそ、うそ、うそ。なんで、どうして、どうして、二回もシャラが食べられなきゃいけないの? シャラは何も、何も何も何も何も何も何も悪い事してないのに――!!

 困惑が憤怒に変わる、憎しみに変わる、恨みに変わる。呆けていた少女の顔が、羅刹のものへと包まれていく。だけども彼女は気づかない、今の自分の体がどれほどまでに不安定なものになってしまっているのかと。
 それを表すかのようにレフトが奇妙な悲鳴をあげた。

「うぐるぼへっ!?」
「ちょっとレフト、ふざけないでよ!」
「ふ、ふざけてない! 狐娘が動き出したんだよ!! ってかガチ痛い!! 俺、さっきから精神に集中攻撃されてるっ!! いででででででででっ! 滅茶苦茶いでええええ!!」

 ガチで怒鳴ってきたライトにレフトは言い返すものの、凄まじい痛みを感じるのか涙流しながら悲鳴を再度上げた。その様子に気づいたセンターが冷や汗を流し、アンダーに確かめる。

「ちょ、これってフーお得意の苛め!? でもレフトの痛がりようおかしくね?」
「……恐らく感情のままに動かしてるからだろ。それにこちらにも痛いぐらいに突きつけられてくるぞ、シャラの仇と」
「うえええ?! ちょ、俺等使い魔! フーの使い魔! 文句ならフーにい……イギヤアアアアアアアアアアアア!!!!」
「ぐっ!?」

 声に余裕がなく、少し震えているアンダーの返答を聞いたレフトがみっともなくシアンに言い訳するものの、無意味。それどころか嫌気を刺したのか威力を上げた。彼女の意識からフーを引っ張り上げようとしたアンダーもその巻き添えを食らい、断念してしまうほどであった。それだけでなく、シアンの思いはライトとセンターにも届き、二体は魂に直接送られる激痛に耐え切れず、彼女の拘束を解いてしまった。
 自由の身となった少女は虚ろな瞳で色が変わり始めた空を見上げる。だけど、そこには愛しい人も何処にもいなくて。ただ、何も変わらない空の様子が涙を誘った。

「しゃら……しゃら……しゃらぁ……」

 ひっくひっくとみっともなく、少女は泣く。そこにあるのは蝶でも天女でも踊り子でもない、ただ飾り立てられた少女が立っていた。
 彼女は強い心の持ち主であるだろう。シャラという親友がいたからこそ、彼女はあの地獄と化したサザンクロスタウンから脱出してもすぐに己を取り戻す事が出来たのだろう。誘拐されても尚、己にだけ与えられた力を探求する決意が出来たのだろう。繊細な心を持っていながらも、親友という存在があったからこそ彼女は強い精神をも持っていれたのだ。
 でもその親友が二度も崩れ落ちたら? 惨劇をタップリと見せ付けられ、その中で親友が酷く残虐で言葉にもしたくない程酷い末路を送ってしまった事を記憶に閉じ込めるだけで精一杯だったというのに、死んでも尚魂だけとなっても救いにきてくれた親友が目の前であっさりと 飲 み 込 ま れ て し ま っ た ら ?
 こんなにも辛い体験しまくってる中で二回も親友が己の目の前でいなくなって、耐え切れるわけ、ねぇだろ?

「なんで、なんで、なんで、なんで、なんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんで」

 ガタリガタリと何かが壊れる。ピシリピシリと何かがひび割れる。グラリグラリと何かがふらつく。あぁもう、何も考えたくない。今すぐこの場から逃げ出したい。目の前の悪夢を、自分の現状を、全部、全部、全部、どうにかしたい。

 ぜ、ん、ぶ、こ、わ、し、た、い。

 少女が願ってしまうやってはならない願い事を。今の自分にはそれほどまでの力があることも知らないで、願ってしまう。

 シアンはシャラの存在が認識できた際、自分でも思っていなかったほどの力でかなりの魔力を持つフーを押しのけて表に出てくることが出来た。フー・スクレートは自分自身が強大な魔力を持っているだけでなく、アンダー・センター・レフト・ライトと言った四体の使い魔をその身に取り付かせながらも主導権を握ったまま自由に操る事が出来る。これだけでも凄まじいものがあるのだが、フー・スクレートはエネルギー型ではなく特異型の能力を保持している。それは他者の体を乗っ取るというダークマターと似て非なるもの。己の力を保ったまま相手と融合し、相手の全てを手中に収めるという非常に厄介な代物。逆を言えば、乗っ取られた相手もフーと同等の魔力を手にする事が出来る。
 一方でシアンの能力は狐の動物型。彼女自身が引きこもり気味だったが為、力そのものはほとんど目覚めていないに等しい。だけど目覚めていればそれなりの強さを誇っており、ちゃんと鍛えていれば中々の実力を発揮する事ができただろう。そもそも狐という種は魔力、というよりも妖力というものに長けている存在なのだから当然だ。
 さてさて、そんな少女が強い魔力を手に入れた。その魔力を心のままに操った結果、自分の本来の力を強引にこじ開けて強くしてしまったらどうなる? もしもそれが従来の動物型ではなく、「突然変異」に匹敵するほどの力だとすれば?
 もちろんろくなことにはならない。
 そう証明するように、少女の尻尾が大きく震え出す。するとボンボンボンッと景気良く音を立て、増えていく。二つ、三つ、四つ、五つ、六つ、七つ、八つ、九つと増えていく。瞳は彼女の本来の茶色のものに変わりながらも、光が失せていく。全身に黄金色の毛が生えていき、丸い体を包み込んでいく。四体の使い魔さえも飲み込み、己の短い手足が毛にまみれたまま長くなる。丸い体は痛々しい音と共に胴体となり、頭が生える。人のものではなく、前に口と鼻が飛び出ている狐のもの。

 その姿、言うなれば『九尾の狐』そのもの。

「コオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオン…………!」

 九尾の狐は吼えた。何故吼えたのか自分でも良く分からぬまま、衝動に身を任せようと思いながら。

 ■ □ ■

Cパート。漸くソプラノ御降臨です。

 運が良くて、運が悪い。反乱軍とそれに加担しているスタッフ達は裏方からこの現状を見て、同じ事を思った。
 裏方にセットしてあるモニターの調整、テレビカメラから映る映像などから見える会場の中で予定外の事を発動させた『九尾の狐』の存在に誰もがうろたえる中、一人呟く者がいた。

「……まさかこんな事態に陥るとは」

 フー・スクレートの能力と魔力ならば、引きこもりの少女ぐらい楽に懐柔できるものだと予測していた。だが実際はカーベルの歌を歌った際に姿を現した少女の親友が切欠となり、彼の力全てを飲み込んで自らも畜生と成り果てた。否、アレは畜生というよりも大国に否定の魔女が攻めた時に発見された『氷の鬼神』と近い存在にも思える。
 ただ幸いだったのは何故か天空王国スカイピアに黄金の風を纏った飛行機が突撃した事により、幽霊達が出現する直前で放送を強制的に臨時ニュースに変える事が出来たからだ。恐らくこのままスカイピア関連や否定の魔女関連のニュースが引き続き行われるだろうから、当分この事態に関しては誤魔化す事が出来る。
 が、だからといってこの九尾の狐が消えるわけではない。現にモニターの向こうに見える彼女は獲物を探すように、幽霊と倒れた観客達を幅広く見下ろしている。

「どどどどど、どうにかして止めに入らないとやばくね!? やばくねぇか!?」
「うーわー、ありゃないわ……。ここにいても魔力ひしひし感じてくるよ」
「カービィなんでもありすぎね? カービィなんでもありすぎね!?」
「最早カービィの枠ぶち壊してるよ!」
「いや、それは色々と今更だから」

 スタッフ兼反乱軍(どっちでも平)の方々がうろたえまくっている。一部メタ的ツッコミを入れているけれど、気にしてはいけない。
 そんな中、冷静な者がモニターから振り返りながら一同に尋ねる。

「歌はこちらで記録した。歌える者、いるか?」
「いや、無理だろ。どうするんですか、ユピテル様」

 隣に座っていた者がツッコミを入れた後、この作戦の責任者の一人であるユピテルに尋ねる。
 爪を連想させる黄金のペイントを顔にした水色の女は薄い空色の帽子の長い尾の四本ある内の一つを整えながら、軽くため息をついて指示を送る。

「……仕方がない、全員転移を発動させる。エメラルド卿がこちらに向かっている為、どうにかレッドラムに送り込む事は可能な筈だ」
「え? エメラルド卿は今、ホワイト相手に足止めをしているのでは?」
「それにレッドラムは……今、入れない状態では?」
「敵方が発動させたマイクにより、それどころではなくなったそうだ。後、レッドラムに関してはスカイピア崩壊直前にクリスタルが解放された模様。どのような状態になっているかは分からないがここに連中を放置するよりはマシな筈だ」

 隊員二名の意見にユピテルは答えた後、全員転移に行動を映そうとしたその時モニターを監視していた隊員の一人が声を上げた。

「こ、コンサート会場に青い自動車が突撃しようとしています!」
「……何?」

 ユピテルはそれを聞き、モニターに目を向ける。モニターの一角ではコンサート会場に続く大きな出入り口目掛けて青色の自動車が突撃しようとしている光景があった。係員が止めようと走るものの、聞く耳持たずと言った様子でソレは出入り口を派手に破壊してコンサート会場へと入っていった。その後に続くようにワープスターも会場に入っていく。
 その光景にユピテルは足止め組が逃してしまった大国の者達だと咄嗟に判断し、待機させてある戦闘組員に指示を送る。

「オ=ワン、ギンガ、粉砕、ココ! お前達は会場に向かい、時間稼ぎを行え!! 死者は最小限に抑えろ!」
「承知でござんす!」
「時間稼ぎってめっちゃ面倒臭っ!」
「かーっ、相変わらずの無茶ぶりだなー……」
「アイアイサーッ!」

 お椀を被った侍、銀髪の吸血鬼、特徴が無い紫の男、狐の耳と尻尾を生やした生意気そうな子供がそれぞれ返事した後、会場目掛けて突っ走っていく。
 ユピテルはそれを見送った後、すぐさま通信機を取り出して守護担当の屋敷で待機している男に連絡する。

「輝、そっちの状況はどうなっている?」
『悪ぃ、ホワイト逃がしちまった。グレムのバカが大暴れしたせいで色々台無しになった』
「……ホワイトは今どうなっているか分かるか?」
『緑の幽霊と一緒にそっちに向かってるらしい。こっちはシズク等と合流してアルファルノイズのバカども殴ったから、これからそっちに移動するところだ』
「ゼネバドル等を拾うのを忘れないように」
『分かってるよ。ヨウインが連絡入れてる真っ最中だから、心配しなくてもいけるぜ』
「そうか」

 反乱軍の一員である輝からの連絡により、屋敷側の情報を得たらすぐにユピテルは電源を切る。そして、大魔法を発動させる為に再度部下達に指示を送り出す。

 ■ □ ■

 コンサート会場の出入り口である西口の両開き型のドアが派手にぶち壊され、空中にグシャグシャとなったドアだったものが舞い上がる。それは観客席へと落ちていくものの、幸いな事に幽霊騒動でパニックになった際、抜け出そうとした人々の席だったがゆえに無人であった。
 ドアを派手にぶち壊した物体――青色の自動車は大きくドリフトしながら、出入り口より数メートル移動したところで漸く止まる。助手席の扉が勢い良く蹴飛ばされ、中から出てきたゼネイトは周りを見渡しながらタロウに怒鳴りつける。

「タロウ、ひいてないだろな?!」
「あのね! このソラは僕の能力なんだから、どんな状態だろうと僕が意識すれば人に被害を与えられるかどうか調整できるの忘れてない!?」
「念の為に聞いただけだ! それより、この現状見ろ。死屍累々だぞ!?」

 己の能力である愛用自動車ソラに関して説明してやったタロウの言い分にゼネイトは流しながらもコンサート会場に目を向けるように叫ぶ。タロウが目を向けてみるとコンサート会場には世界大戦時代に滅んだ筈の夜明国の兵達の亡霊が沢山おり、観客達が全て床に倒れこんでしまっているだけでなく、その中央である舞台上には禍々しい九尾の狐が存在しているという凄まじい光景が入ってきた。この距離からでも九尾の狐と分かるのだから、実際対峙するとかなりの大きさがあるのだろう。そう思うとゾッとする。
 後座席の扉を開き、タービィとツギ・まちは外に出て同様の光景を確認する。タービィは中央にいる九尾の狐を見て、唇を噛み締めて複雑な顔で呟いた。

「……狐の嬢ちゃん、歌うにしてはひっでぇ姿じゃねぇか。何であんな姿になっちまったんだか」

 サザンクロスタウンの時から運命に虐げられ続けてきた少女の今の姿に、タービィは心を痛める。ツギ・まちも同じなのか悲しそうな顔で彼女を見つめていた。
 二人が出た扉とは逆の扉から出たリクは二人の会話を聞き、九尾の狐を見た上でツッコミを入れる。

「ちょい待て、食い逃げ一号と五号。あれがお前等の探しとったシアンっちゅー娘なんか? わいにはどう見てもモンスターにしか見えへんで」
「オレっちの勘とツギ・まちの魔力探査能力が狐の嬢ちゃんだって言ってるんだよ。なぁ、ツギ・まち?」
「(こくこくこく)」

 あっさり答えるタービィと同意するように頷くツギ・まち。タービィにはツギ・まちの言葉が分からないものの、相手のジェスチャーや顔で時々何が言いたいのか分かる事はある。それに元々ツギ・まちは素直な部類に入るからうそはつかない。だから彼があの九尾の狐をシアンだという主張のを信じたのだ。
 その時、タロウの自動車を横切ってソプラノと紗音が乗ったワープスターがコンサート会場の中へと入っていく。ワープスターは車よりも前に行くと九尾の狐と正面向き合うかのように、絶妙な位置で止まる。
 九尾の狐が唸り声を上げながら、正面に現れたワープスターを睨みつける。紗音が怯え縮こまるものの、ソプラノは凛とした態度で彼女を見つめるとヘッドフォンを調整しながら話しかける。

「……シアンちゃんなの、あなた? フー君の魔力も感じるけど」
「……コオオオオオオオオオオオオオン……」

 返ってくるのは鳴き声のみ。だけど名前に反応したのか、鼻息を荒くして再度ソプラノを睨みつける。その瞳は濁っており、怒りだけではない様々な負の感情が宿っている事を分からせてくる。
 あぁ、これはシアンだ。ひしひしと感じさせられる魔力がそう物語っているし、何よりも何時も押し込めようとしていて堪えきれていない拗ねた声がシアンだと主張している。
 目の前に存在する九尾の狐がシアンだと確信したソプラノは一度目を閉じ、そして大きな決意と共に光を宿した目を開かせるとヘッドフォンからマイクを出現させて手に取ると、彼女に宣戦布告した。





「あたしの歌を聴けええええええええええええええええええええええええええええ!!!!!!」





 虚空歌姫の下に銀河に乗った歌姫が、救う為に現れた。





 次回「九尾の狐と 戦士達が贈る 狂詩曲」




  • 最終更新:2014-06-15 18:27:11