第二十二話「地下攻防戦」


 南に存在する十字型大都市サザンクロスタウンには地下鉄の更に下に秘密通路が存在している。
 そこは守護担当四名及び大国上部関係者にしか立ち入りは許されておらず、一般の者が入るには先ほど述べた条件に該当する者と同行するか許可を貰わなければならない。
 何故そこまでする必要があるのか。理由は簡単だ。
 終戦後、世界最強と言われた無限の魔術師マナ氏によって二つのエアライドマシン“ドラグーン”と“ハイドラ”がそれぞれ三つのパーツに別けられ、六大都市グリーンズ、レクイエム、ブルーブルー、レッドラム、タワー・クロック、サザンクロスタウンに隠されてしまっているからだ。
 六つのパーツをそれぞれ示すコンピュータの唯一の出入り口が秘密通路であり、魔女復活時に備えて創り出されている。
 緊急事態により、一般人が立ち寄らなければならない時は大国上部関係者による許可証と大国防衛隊隊員が最低でも一人必要。
 少々面倒くさいシステムではあるものの、その先にある否定の魔女攻略のヒントの為ならば仕方がないといえるだろう。
 ただ、そのヒントを知る事が出来ても生き残る事が出来ればの話だが。

 冷たすぎる鉄のトンネルの中、不気味に光る細いレールの上を列車のように繋がったワゴンスターに類似した白色のエアライドマシンが三つ続けて走っている。
 レールそのものは一直線であり、人っ子一人いないのでダイダロスが出現する心配も無く、戦闘だらけの地上とは違ってかなり順調に進んでいる。
 乗車しているのも三人。何でも屋のラルゴ、その連れのカタストロ、第二章にて知らぬ間に拉致られていたフズだ。

「……ということだ。何か質問はあるか、カタストロ、フズ」

 先頭に座るラルゴはこの秘密通路とエアライドマシンについての説明を終わらせ、後ろに乗っている二人に尋ねる。
 訳が分からず連れてこられていたフズは理由を飲み込みながらも、不機嫌そうな顔で答える。

「必要な理由は分かりましたけど、あんな方法で拉致らないでください」
「フズ、無駄だ。ラルゴの拉致は癖みたいなもんだから」

 最後尾に乗っているカタストロが半ば同情めいた様子でフズに言う。
 フズ、それを聞いてへこむ。ラルゴ、無視。
 へこむフズの頭をぽんぽんと撫でながら、カタストロはラルゴに確かめるように尋ねる。

「とりあえず目的とこいつを連れてきた理由も分かった。エアライドマシンの回収も皇帝陛下の命令か?」
「そんなところだな。否定の魔女復活犯であるナグサに関しては魔女のターゲットにされているから保護対象に切り替わっている。ただし魔女の性格を全員知っているから、完全幽閉にするつもりは無いらしい」
「魔女は確か劇的な展開を望んでいるんだろ? 物語のように戦士達と魔女が全身全霊を込めて戦い合うっていう馬鹿げた展開」
「ベタ中のベタだが、盛り上がらないといったら嘘になるからな」
「……巻き込まれる側の立場についても考えてほしいな」
「戦いを目的とする者はそんな事を考えない。世界大戦では全ての者がそれに当てはまったよ、少なくとも十年前の時はな」

 十年前、世界大戦にて皆殺し事件が起きた年。
 否定の魔女との関連はあるものの、人という存在の恐ろしさを全面的に現したダイダロスの軍勢と同等の悪夢の事件。
 その事件に関わった者、特に被害者の心の傷は今でも残っている。
 皆殺し事件や夜明国崩壊事件以外にも、世界大戦は無数の人々を殺し続け、絶望へと突き落とした。
 六年前に全て終結した筈が、ナグサという者の手によって否定の魔女はこの世に復活して再びこの世に絶望と悪夢を導いていく。
 本来ならば人は復活させてしまったナグサを責めるだろう。
 だけど彼等は知っている。動ける者が動かなければ、何の意味も無いという事を。
 だから気持ちを抑え、否定の魔女攻略のヒントの場所へと向かう。

 そのまま三人で会話をかわしていると、エアライドマシンが突き当たりで止まる。
 突き当たりはカービィからすれば見上げるほどの大きな扉だ。互いに凸凹になった横開きの近未来的な扉であり、扉の横には小さな認識装置(パッと見て電卓に見えなくも無い)がある。
 ラルゴは二人をつれ、認識装置に近づくと緊急暗証番号を押そうと手を伸ばそうとする。
 その時、認識装置から子供二人の音声が出てきた。

『誰?』
『誰?』
『ここは守護者か』
『ここは大国上層部か』
『そのどっちかじゃないと入れないんだよ』
『このどっちかじゃないと入れねーんだよ』

 いきなり出てきた音声にカタストロとフズが少しびっくりする横で、ラルゴは平然とした様子で音声に返す。

「こちら何でも屋ラルゴ。オリジナル・カービィ大帝国現皇帝の代理人としてこちらに参った。大国防衛隊代表者は大国防衛隊絵描の五番隊隊員フズ。尚、コードはTFFZ0619。繰り返す。コードはTFFZ0619」
『コード:TFFZ0619了解。フズ君偽者じゃないかチェックするね』
『コード:TFFZ0619了解。あんたらが危険人物じゃないか見させてもらうぞ』

 すると天井から青色のライトがフズを、紫色のライトがラルゴとカタストロを照らす。
 認識装置の小さなモニターに常人では解読できない文字と数字の螺旋が延々と続いていく。あまりの速度に読み取ろうとしても読められないものだった。
 螺旋が終わると共に二つのライトも消え、扉が開く。

『本物と認識完了。それじゃ入っていいよ』
『安全と認識完了。そんじゃ入っていいぞ』

 三人は部屋の中に入る。
 三人が入る扉はしまり、部屋に明かりがつく。
 真っ先に目に入ってきたのは部屋の壁全体にある巨大なモニターだ。モニターにはサザンクロスタウン全体が映っており、人を現しているらしい丸いマークはほぼ全て真っ黒になっていてサザンクロスタウンを黒に染めている。ほんの一部青色になっているけれど、良く見ないと気づきにくいぐらいの少なさだ。ただし北エリアと西エリアにはいくつかの青マークが集まっている。
 三人はモニターに備え付けられているコンピューターに近づこうとしたら、いきなり部屋の真ん中に丸く大きな穴が開いてそこから巨大なカプセルがゴゴゴゴゴ……と大きな音を立てながら競り上がってくる。
 いつの間にか天井に出現した固定装置とカプセルの上部がぶつかり、その場に固定される。
 カプセル自体は半透明となっており、中が見えるようになっている。中にあるのは角を連想させる緑色の大きな物体だ。中央部が黄緑の半透明となっており、カービィが一人乗れそうに見える。
 最初それがどんな物体か分からなかったものの、フズは過去に本で読んで見た事があるのを思い出す。

「これって、ハイドラの一部ですか?」
「だな。俺もハイドラを生で見るのは初めてだけど」
「敵を終結に導く破壊の王と呼ばれる品物だからな。こうやって見られるのは滅多に無い事だ」

 世界大戦で活躍した神器である為、カタストロも知っている。
 続けてラルゴがハイドラパーツに関して軽く説明を入れる。といっても二人とも知っている事なのであんまり聞いてないが。
 何で出てきたんだろうとフズが首を傾げている中、カプセルの前にばちばちとカービィ大の放電が出現する。
 それを見たカタストロがすぐさまフズを後ろに引っ込ませて、能力を使って巨大十字架を手にする。ラルゴは動かず、そこに立ったままだ。
 放電は電気の帯を纏いながらも二つに分裂し、それぞれカービィへと形作っていく。
 一つは青色の体でコンセント型の尻尾を持っている。垂れ目だ。
 一つは紫色の体でコンセント型の尻尾を持っている。つり目だ。
 二人共に電気を纏っており、ぼわんとした感じで光りながらその場に浮いている。

『僕はアノ。ここを守る電子の精霊だよ』
『俺はカス。ここを守る電子の精霊だぜ』
『『エアライドマシン、ドラグーンとハイドラの居場所を何時でも何処でも知ってる双子さ』』

 垂れ目はアノ、つり目はカスと名乗って己が何者なのかを簡単に話す。
 それを聞いてカタストロは敵じゃないのかと思い、十字架をおろす。
 タイミングを見計らったのか、ラルゴがアノ+カスに尋ねる。

「俺達の用件は先ほどのコードを言った事から分かるな?」
『ドラグーンとハイドラのパーツ全ての在り処だよね?』
『否定の魔女がサザンクロスタウンで大暴れしているから、嫌でも分かるっちゅーに』

 アノは素直に頷き、カスはにやにや笑いながら答える。
 どうやら役割は同じでも性格面は違うようだ。
 アノ+カスは少しの間目を閉じ、沈黙する。
 二人の体に文字と数字の螺旋が浮かび上がり、次々と表示されていく。早すぎるので三人は内容が全く読めなかった。
 すぐに目を開き、アノ+カスはパーツの在り処について話す。

『ドラグーンパーツの在り処は現在レクイエム、ブルーブルー、サザンクロスタウン』
『ハイドラパーツの在り処は現在タワー・クロック、レッドラム、サザンクロスタウン』

 それを聞いてラルゴの表情がやや歪む。
 六大都市に一つずつパーツを隠している筈なのに何故サザンクロスタウンに二つもあるのだろうか。

「何故サザンクロスタウンが二つある?」
『グリーンズにあったドラグーンパーツが今、この上にあるんだよ』
『だからグリーンズじゃなくてサザンクロスタウンにあるわけ』
「何だと!?」
「こ、この上ってまさか!!」
「あのナイトメアシティの中に!?」

 アノ+カスの返事を聞き、ラルゴが声を荒げてカタストロとフズが顔を青ざめる。
 そんな三人の様子を見ても動じず、アノ+カスはモニターに顔を向ける。
 すると北エリアにて青マークが集まっていたところから小型の画面が重なるように出現し、一体のカービィを映し出す。
 そこに映っていたのは茶色の帽子を被った黄色のカービィ――ナグサ。

『彼がドラグーンパーツの保持者だよ』
『現在行方不明者に登録されているナグサだ』
『最初は僕等でもちょっとわかんないとこにあったよね』
『あった。まさかカーベルのベルを持ってるとは思ってなかった』
『グリーンズにあったのを持ち出すなんて予想外だったし』
『ってかグリーンズのって何処にあるのか良く分かんない状態にあったろ、結構前から』

 アノ+カスはまるで世間話をするように平然と話している。
 ラルゴとカタストロは色々ととんでもない単語を聞き、互いに顔を見合わせる。

「グリーンズに本来保管されていたドラグーンパーツをナグサが持っていた、だと?」
「ってかちょっと待て。今カーベルって言わなかったか、もしかしてあのカーベルじゃないよな?」
「多分あのカーベルで正解だ。あのカーベルならばドラグーンパーツの居場所を探る事も出来るし、その際に知り合ったのならばベルも納得出来る」
「俺としてはグリーンズに何があったのかちょっと気になる」
「だな。守護担当が保管していると見ていたが、この話から行くとどうもマナ氏が単独で動いてかくしていたと見るのが一番よさそうだ」
「あー、そりゃこんな装置作るわけだわ……」
「……えーと、ちょっと把握しきれないんですけど」

 考察する二人にフズがやや困惑した表情で口を挟む。
 出来る限り話についていこうとしたのだが、カーベルやらナグサやら理解しきれない部分があった。ナグサに関しては名前だけ聞いていたものの詳しく知る前にトレヴィーニに体乗っ取られたし。
 フズに止められ、ラルゴとカタストロは考察を一旦止めて説明しようとしたその時。

『急速接近物体感知! 相手は一体だよ!!』
『急速接近物体感知! 相手は一体だぜ!!』

 アノ+カスが表情を変えて、同時に声を上げる。
 モニターもサザンクロスタウンから中継動画へと変わる。
 画面に映っているのはカービィ型のロボットだ。
 様々な色の球がつけられた八つの機械羽を持ち、左頬にⅨという文字が書かれている。
 何も映していないように感じる金色の瞳は、その手にもつ弓矢で排除する敵だけを探しているのかと思ってしまいそうだ。
 ロボットが飛んでいる位置は壁や床、そしてレールなどから判断して明らかに秘密通路そのもの。
 それを見たラルゴは眉をしかめ、フズは慌てながらもアノ+カスに尋ねる。

「もう嗅ぎつけられたか……!」
「あのロボット、一体何ですか!?」
『機械反乱時、出現した機械軍無人自己判断型自動殲滅機械人形第九号機!』
『通称キューピッド! 硬いし強いし、終盤戦でもしぶとく生き残ってた!』
「って事は間違いなく魔女の手下だな」

 間違いなくディミヌ・エンドがここをかぎつけて、使者を送ってきたのだろう。
 それもよりにもよって機械軍無人自己判断型自動殲滅機械人形第九号機通称キューピッドというきつい強敵を。
 ここにいる三人は直接戦った事は無いものの、かつての資料や情報などでキューピッドの存在については良く知っている。
 世界大戦の始まりとなった機械反乱当時、機械軍側の主力の一つとも呼ばれた兵器の一つ。特に遠距離攻撃に優れており、無数の人々がその攻撃に苦しめられたと聞く。
 機械反乱終結後、そういった兵器は全て改良されたか破壊されたかのどちらか。キューピッドはその後者に当てはまる。
 そこまで思い出し、ふとフズは疑問に思う。

「あれ? 何で十年ぐらい前のロボットが今ここに……?」
「……お前、否定という名のチート超えたチートが向こうにいるのを忘れたのか?」

 カタストロの半分呆れた言葉を聞き、フズは納得した。

『雑談はどうでもいいからさっさとアレ食い止めてー!』
『ハイドラパーツを奪われたりしたら、否定の魔女封印すらできなくなるぞー!』

 アノ+カスがどんどんとこの部屋に近づいてくるキューピッドを恐れ、三人に救助を頼む。
 エアライドマシンのパーツを集めるのが目的だというのに、ここで倒されるのは冗談ではない。
 ラルゴは羽に光を貯め、カタストロは巨大十字架を片手で担ぐ。
 フズも羽ペンを手に取り、己も参戦しようとするがラルゴに止められる。

「待て。お前はここに残って、回復に関してのサポートを頼む」
「え!? でも大丈夫なんですか?」
「回復役には安全な場所にいてほしいからな。それにこの程度の転送ならば出来るだろう?」

 フズにそう答えた後、アノ+カスに確かめる。
 電子の精霊であり、コンピュータを護る二人はしっかりと頷いて答える。

『ちょっと面倒だけど出来るよ!』
『連続は無理だけど、時間おけばどーにかなる!』
「そうか。なら、俺とカタストロを至急キューピッドのもとに転送!」
『『了解!!』』

 アノ+カスがラルゴとカタストロを部屋からキューピッドのいる秘密通路へと転送させる。
 二人がさっきまでいた場所を見つめながら、フズは不安に思う。

「大丈夫なのかな……?」

 モニターに映っているのはキューピッドと向かい合うラルゴとカタストロ。



ナイトメアシティ第四回戦ラルゴ&カタストロVSキューピッド――START!



 ■ □ ■

 創られたその顔は無表情。創られたその瞳は無感情。創られたその者はただ相手を倒すのみ。
 それが機械軍無人自己判断型自動殲滅機械人形第九号機キューピッド。
 だから目の前に突然男女が現れても敵と認識し、攻撃するのみ。
 主ディミヌ・エンドから与えられた任務。ハイドラパーツの奪取を遂行する為に。

 ■ □ ■

 ラルゴとカタストロが転移した途端、キューピッドから矢の洗礼を受けた。丁寧に二発放ってきてる。
 二人は己の翼で飛んで矢を回避し、キューピッドと向き合う。
 キューピッドは矢が避けられた事に全く動じず、弓を横に構えて無機質な目で二人に狙いを定める。すると弓に備えていた矢が数十本となり、隼のように発射されていく。
 ラルゴは翼を大きく動かし、自分とカタストロの表面に無数の粉を集中させて巨大な盾を生み出す。
 矢は次々に盾に命中していき、防御した二人には一本も当たらなかった。
 キューピッドは翼の赤球を輝かせ、先端が真っ赤になっている矢を弓にセットして盾目掛けて撃つ。
 赤い矢は先ほどの矢と同じように粉の盾に直撃する。すると粉の盾は炎上し、ラルゴとカタストロの姿をあらわにする。
 二人が防御を破られたのを驚くもよそに、キューピッドは八つの羽の内、黄色とオレンジの二つを前に出し、先端からレーザーを出して攻撃する。
 ラルゴとカタストロは左右に分かれて避けるものの、二つのレーザーは的確に二人を追いかけていく。

「めんどくさっ……!」

 カタストロは未だ追ってくるレーザーを巨大十字架で防御した後、素早く周囲に小さな十字架を複数出現させる。
 小さな十字架はレーザーを放っている黄色の羽へと全て突撃し、次々と爆発を起こす。

「集え、雷。俺にお前の叫びを聞かせろ」

 ラルゴはレーザーを巧みに避けながら短い詠唱を唱え、オレンジの羽目掛けて雷を落とす。
 黄色の羽、オレンジの羽はそれぞれ爆発と雷という攻撃を食らってしまい、ダメージでレーザーが停止される。
 しかしその間にも既にキューピッドは次の攻撃態勢へと入っていた。
 残り六つの羽の先端が全て二人に向いており、それぞれ色に沿った魔力を貯めている。恐らくこれは黄色とオレンジの羽が出したレーザーとは全くもって別物だろう。
 二人が気づくものの、時既に遅し。キューピッドは攻撃を開始する。

「キューピッドは伊達じゃない」

 直後、全ての羽についた球とキューピッドの額の球が強く輝く。
 するとキューピッドの前方に巨大な三角形型魔法陣が出現し、白、黒、茶、赤、オレンジ、黄、緑、青、紫の光を螺旋のごとく纏った太すぎる魔砲撃が発射される。
 防ぎきれないと――死ぬ!
 あまりにも威力がありすぎるそれに対し、ラルゴとカタストロは同時に防御する。
 ラルゴは己の翼を羽ばたかせて先ほどのよりもずっと強い粉で二人を包み込み、カタストロは巨大十字架の形を変貌させて、十字架の模様がついた巨大な盾へと変化させる。
 能力による防御が展開されたと同時に魔砲撃はカタストロの巨大盾に直撃する。その一撃だけで盾にはひびが入り、間から入ってくる力にラルゴの防御粉が削られている。
 盾で防ぎきれずこぼれてしまった魔砲撃もまた秘密通路の壁を削っていく為、これが如何に力が強すぎる攻撃なのかが良く分かる。
 魔砲撃によって盾も粉も壊れ出していく中、カタストロは必死な顔で呟く。

「なんちゅー馬鹿魔力……!」
「だが逆にチャンスでもあるぞ。それまで持たせられるか?」
「意地でももたす!」

 カタストロはそう答え、壊れゆく盾の強度を最大まで上げて魔砲撃が直撃されるのを防ぎ続ける。
 魔砲撃の勢いはだんだんと弱まっていき、最終的には消滅する。
 カタストロは盾を解除し、武器の巨大十字架をその手にもってキューピッドまで接近すると正面から思い切り叩きつける。
 十字架はキューピッドの顔面に直撃し、ダメージを与える。しかし硬さの方が上だったらしく、カタストロに反動で全体に痺れがくる。
 だがカタストロはそれに怯まず、己の力をせいいっぱい出してキューピッドに連続で十字架をたたきつける。それはもう何度も、何度も、何度も、何度も、やりすぎってぐらい何度も。
 続いてラルゴが己の足元に青色の魔法陣を展開させ、呪文を詠唱する。

「鋼を貫く魔の力は水。汝、我が力となって立ちふさがる鋼の愚者に鉄槌を与えよ!!」

 ラルゴの正面に複数の水の玉が出現し、すべてキューピッドへと向かって突撃していく。
 水の玉が全部直撃し、キューピッドの体に電流が走る。ロボットである為か、感電しやすい水は苦手なようである。
 そこにすかさずカタストロがキューピッドの左右に二つの十字架を出現させ、強い力で一気に挟む。だがキューピッドの方が硬く、挟んで潰すということにはならなかった。
 カタストロもそれを理解している故、動じずに指を鳴らす。
 するとキューピッドを挟む二つの十字架が爆発し、黒い煙がキューピッドの姿を覆う。
 そのまま流れるように追い討ちをかけようとカタストロは十字架の先端で煙の中へと突きを入れる。だが十字架の先端は煙の中で固定され、その場から動かせなくなる。
 どうにかしようとカタストロが強い力で引っ張っても十字架は動かない。
 その時、煙の中で黒い光がうっすら輝いたのをラルゴは見逃さなかった。

「避けろ、カタストロ!」

 ラルゴが叫び、カタストロが振り返る。
 その一瞬の隙に、煙の中から黒いレーザーがカタストロめがけて放たれた。
 カタストロは十字架から手を離し、間一髪で体に直撃するのを防ぐ。しかしレーザーは右手と右翼を貫通し、大きな風穴をつくらせてしまう。

「きゃあああああ!!」

 あまりにも酷すぎる痛みにカタストロが悲鳴を上げ、落ちる。
 その瞬間、キューピッドは羽を瞬時に動かして煙を晴らすとカタストロに接近して彼女の頭目掛けて両手拳で殴り、床へと叩き落とす。
 顔面から床に叩きつけられ、カタストロは吐血して床と顔を汚す。
 キューピッドはそんなの知ったこっちゃねぇと言わんばかりに羽の内白と赤の先端をカタストロに向け、レーザーを放つ。
 ラルゴは翼を羽ばたかせ、粉を無数に出すとカタストロを包み込んでバリアへと変換させる。
 レーザーはバリアによって無効化され、カタストロにこれ以上のダメージを与えなかった。
 それに合わせてラルゴはキューピッドの前まで移動し、相手を睨みつける。
 キューピッド自身は無表情のままで、弓矢を手に取るとラルゴに標準を合わせて矢を撃つ。

「貴様を貫く魔の力は三種! 三種の力により、我は立ちふさがる愚者に対抗する!!」

 矢が直撃するよりも早くラルゴが詠唱し、正面に逆三角形型の魔法陣を展開させる。
 魔法陣により矢は防がれる。すると魔法陣から次々と無数の矢が発射される。
 炎、水、雷の三つの属性に分かれている無数の矢はすべてキューピッドに命中し、小規模な爆発を起こす。
 ラルゴはそれを見逃さず、すばやく詠唱して雷を落とす。
 雷はキューピッドに直撃し、わずかながらも本体の動きが止まる。
 しかしキューピッドの八つの羽が動き出し、ラルゴ目掛けてそれぞれの先端からレーザーが発射される。
 ラルゴは粉を出現させ、己の体をすっぽり覆わせるシールドへと変換してレーザーを防ぐ。だがレーザーは止まらず、ラルゴのシールドを徐々に削っていく。
 その時、倒れていたカタストロが翼を羽ばたかせてキューピッドの背後に回ると勢い良く十字架を横から振って壁に叩きつける。
 キューピッドは壁にめり込んでしまい、機能が一時停止する。
 それによりレーザー攻撃は中断され、その隙にラルゴがシールドを解いて羽を大きく動かして突風を出して羽を分散させる。
 大丈夫そうだな、とカタストロがラルゴを見ながら考えていると己の横に電子モニターが出現し、フズが映る。

『体は大丈夫ですか!?』
「ちょっとしんどいけどどうにかなる。元気ドリンク、感謝するぞ」
『ありがとうございます。でも元気ドリンクでの回復なので、手と羽の傷は防げましたけど出血とダメージまでは治癒しきれてません!』
「動ければ十分だ!」

 アノ+カスの転送システムにより送られたフズの描いた元気ドリンクによって回復したカタストロ。
 ラルゴはキューピッドが復活する前にカタストロに飛んで近づき、彼女に尋ねる。

「いけそうか?」
「どうにかな。でもどうする?」
「奴にダメージは通っているものの、長期戦になればなるほど俺達が不利になる。かといって奴を一撃で倒せる攻撃なんて俺もお前も持っていない」
「でもここで逃げたらやばいだろ」
「分かっている。……それに策が無いというわけではない」
「それは」

 何だ? とカタストロが言葉を続けようとした矢先、壁にめり込んでいたキューピッドが抜け出してきて己の下に戻ってきた八つの羽共々回転しながら二人へと襲い掛かってくる。
 カタストロとラルゴは左右に避け、直撃するのを防ぐ。
 キューピッドは避けられたと同時に回転をやめると、その手に弓を出現させてカタストロ目掛けて先端が紫に輝く矢を放つ。
 カタストロは翼を羽ばたかせ、上方向に避けるものの矢は意思を持っているかのように彼女の後を追い、左足を貫通する。
 すさまじい痛みが左足から全体へと襲い掛かり、カタストロの動きが止まる。
 その隙を見逃さず、キューピッドは違う矢を弓にセットしてカタストロに標準を合わせる。

「機械を貫く魔の力は雷。汝、我が力となって立ちふさがる機械の愚者に鉄槌を与えよ!!」

 ラルゴがすばやく詠唱し、キューピッド目掛けて雷を落とす。
 雷が直撃し、キューピッドがよろめく。
 それを見逃さずにラルゴはキューピッドの目の前まで回りこむと、右手を勢い良く前に出して魔法陣を展開させて至近距離からカービィより一回り大きい岩石を出してキューピッドにぶつける。
 岩石を食らったキューピッドはバランスを崩すものの、八つの羽すべてが先端をラルゴに向けてレーザーを放とうとする。
 しかしレーザーが出るよりも早く、カタストロが八つの小さな十字架を出して羽目掛けて飛ばす。
 十字架は羽にぶつかり、八つの小さな爆発を起こす。
 爆発による煙にまぎれてラルゴは急いでキューピッドから距離をとる。キューピッドはそれを逃さず、額の黒球からレーザーを飛ばす。
 即座に身をそらすものの左翼をレーザーが貫き、風穴をつくる。
 痛みにより表情を歪ませるもののラルゴはどうにかキューピッドから離れ、カタストロの横につく。
 カタストロは左足を貫通させた矢を抜いており、足からぼたぼたと血を流している。それに表情もどこか辛そうで体を震わせている。
 カタストロから流れる血には赤黒い色だけではなく、紫も混じっている。
 それを見たラルゴは瞬時にそれが毒魔法だと見抜くと羽を動かして粉をカタストロにかける。

「どうだ?」
「……ちょっと楽になった。解毒したのか?」
「応急処置だ。もう少し体力が残っていれば完全解毒できたんだがな」

 すなわち進行そのものを遅らせただけにすぎない。
 ラルゴは魔法を連発しすぎた為、完全解毒を行うまでの力が出なかったのだ。少々分量を間違えてしまったなと自己嫌悪する。
 何はともあれこれで益々長期戦が出来なくなり、一刻も早く戦闘を終わらせなければならない。
 そんな時、キューピッドが二人目掛けて複数の矢を撃ってきた。それぞれの矢の先端が様々な色で輝いているところからすると魔法が宿っているのが分かる。
 いきなり飛んできた矢に対し、カタストロは素早く十字架模様の盾を出して己とラルゴを守る。
 矢は次々に盾に当たり、二人に直撃する事は無かった。
 キューピッドは盾で防ぐ二人を無感情な目で見つめながら呟く。

「ゆっくりしていかないでね」
「いや、話ぐらいゆっくりさせろ!」
「ゆっくりしていった結果がこれだよ、にだけはなりたくない」
「せ、正論だけど何か腹が立つ……」
「何で口開くとネタに走るとこがあるんだ、このロボット?」

 ディミヌかトレヴィーニの趣味か、とどうでもいいことに首を傾げるラルゴ。
 話の邪魔をするとは空気は読めていないものの、戦闘用ロボットとしては間違った判断をしていないのでネタに関してはそれほど大きな問題ではないが。
 その時、ラルゴとカタストロの横に電子モニターが出現して部屋内で待機しているアノ+カスとフズが映る。

『転送システム回復したよー!』
『遅れてごめんな、お二人さん!』
『ラルゴさん、カタストロさん、大丈夫ですか!?』

 転送システムが回復したと聞き、カタストロはこれで回復が出来るとホッとする。
 しかしラルゴは回復アイテムではなく、とんでもないものを要求した。

「ハイドラパーツを転送しろ」
「『『『は!?」』』』
「良いからカタストロに早く!」
『わ、分かった!』
『アノ!? おい、ちょっと!』

 ラルゴに急かされ、アノがすぐさまハイドラパーツをカタストロに転送させる。
 己の手元に転送されたハイドラパーツに驚くもののカタストロは後部をつかみ、武器のように構える。

「ハイドラパーツ確認。これより奪取する!!」

 キューピッドは出現したハイドラパーツを目撃すると、二人の下まで高速接近する。
 まっすぐこちらに向かってくるキューピッドに対して、カタストロはあえて盾を消してハイドラパーツの角をまっすぐに構えて迎えうつ。
 ラルゴは羽から複数の粉を出してカタストロに浴びさせ、彼女の身体能力を上げる。
 キューピッドが右手を前に出し、ハイドラパーツをつかみとろうとする。
 カタストロも翼を動かし、ハイドラパーツを前に出して突進する。

「砕け散れええええええええ!!!!」

 カタストロの叫びと共にハイドラパーツの角がキューピッドの体を引き裂いた。
 交錯し、互いに背中を向けるカタストロと二対に裂けたキューピッド。
 キューピッドは断面図から火花を飛ばし、そのまま小さいながらも爆発を起こして機能を停止した。
 それ即ちラルゴとカタストロの勝利である。
 強敵を木っ端微塵に倒し、ホッと一息つく二人。もう全身ボロボロで休みたい。
 ラルゴはカタストロの持つハイドラパーツを見ながら感心する。

「さすがは破壊の王ハイドラ。パーツといえども、やはり一撃必殺の威力を誇っていたか」
「こっちはすっごい冷や冷やしたけどな……!」
「もっと冷や冷やする事態にならなかっただけマシだ」
「……運がよかっただけだろ」
「お前ならできると考えて、やった結果がこうなっただけだが?」
「え? ……!! ほ、褒めても何も出ないぞ!」

 素でそう言われた為、カタストロは一瞬ポカンとするもののその理由を悟って顔を真っ赤にする。
 ラルゴは真っ赤になったカタストロに対して口元に笑みを浮かべている。明らかに反応を楽しんでいる笑みだ。
 その笑みを見て、カタストロは遊ばれていると悟って顔を膨らます。一瞬だけその笑みにドキッとしたのは内緒だ。
 フズがやや顔を赤くしながらモニター越しに話しかけてくる。

『あ、あのー……イチャつくのは事件終わってからにしてくれませんか?』
「な!? いいいいいいいイチャついてなんかしてない!!」
「そうだな。今ここで時間を潰すわけにもいかない」

 カタストロが赤い顔のまま必死に否定する横で、ラルゴは何も変わらない様子で答える。
 それを見たカタストロはちょっとイラッときたのか、ハイドラパーツでラルゴを叩いた。ラルゴ、床にめりこんだ。

 ■ □ ■

 めり込んだラルゴをカタストロが引っ張り出してから、二人は転送装置で部屋へと戻る。
 部屋に戻った二人はすぐさまフズの描いた回復アイテムで治癒しながら、モニターに目を向ける。
 巨大モニターにはサザンクロスタウン全体と現在生存している人物をピックアップした表が映し出されている。

「この表は?」
「ウチがアノとカスに頼んで出してもらったんです。ドラグーンパーツ以外にも何かあるかもって思って、戦闘終わった後に」
「なるほど。良いアイディアだ。……にしても予想してた以上に多いな、人」

 モニターに映っている表を見て、ラルゴは予想以上に生き残っている事に少し驚いていた。
 ゲームのゾンビと違って触れただけで同化するダイダロスを相手にして、ここまで生き残っているとは考えていなかったのだ。
 よっぽど運がよいのか、それとも魔女に生かされているのかはわからないが。
 アノ+カスが生存表をそれぞれ読み上げていく。

『北エリアにて確認できた人物:ナグサ、ツギ・まち、ちる、クレモト、絵龍、ポチ、フー・スクレート、セツ、ウェザー。南エリアから転移した黒脚ケイト、マリネ、アクス。その上空を飛行しているのはアカービィ、セラピム、ログウ』
『西エリアにて確認できた人物:チャ=ワン、タービィ、ローレン、シャラ、シアン、ソプラノ、ナース、コーダ、豪鉄、エダム』
『南エリアにて確認できた人物:ミルエ・コンスピリト、風神桜花』
『東エリアにて確認できた人物:黄金の風により解析不能』
『魔女一派:ホロ、オルカ、フル・ホルダー、ジョーカーは西エリア。モザイク、キング・ダイダロスは南エリア。クウィンスは北エリア。ディミヌ・エンド、トレヴィーニは不明』
『あんた等を加えると生存者合計三十名。魔女一派は九名』

 主に人は北エリアと西エリアに密集しているようだ。
 それにしてもとんでもないメンツばかりだな、とラルゴは思う。
 九年前にキング・ダイダロスを滅ぼし、銃の戦乙女と称えられたミルエ・コンスピリト。
 夜明国崩壊事件の生き残りだと思われる黒脚ケイト、チャ=ワン、タービィ、風神桜花。
 否定の魔女トレヴィーニの復活をやってしまった犯人ナグサ。
 同業者であり、高度な魔法使いでもあるフー・スクレート。
 何でも屋以上に意図がつかめないクレモト。
 狂気の人形屋ローレンに、現在人気急上昇中のアイドルソプラノ。
 コーダとアカービィという隊長格の存在する大国防衛隊。
 サザンクロスタウンの守護を担当している豪鉄。
 ラルゴが本城に置いてきた筈のセツとウェザー。
 魔女側に関してもかなりの危険人物が揃っており、キューピッドを倒したとしても油断はまだまだ出来ない状態だ。
 だがあくまでも連中の本命は魔女に対抗する主人公と勝手に決められてしまったナグサだ。
 ハイドラパーツを狙っているとはいえども、連続で投下するほど馬鹿ではない筈だ。
 クウィンスが北エリアにいる時点でナグサにぶつけるのは目に見えている。恐らく魔女側はナグサのいる北エリアに何かしらの攻撃を与えようとしている筈だ。
 北エリアにはかなりの実力者が揃っているとはいえど、魔女相手では油断出来ない。 
 ナグサと同行している筈のミルエは何故か南エリアにいる。キング・ダイダロスも同じエリアにいる為、九年前同様の結果になりそうだと思う。
 そこでふとキング・ダイダロスが九年前と同じ姿のままでいるのか? と疑問が浮かぶ。

「キング・ダイダロスの現在の姿は分かるか?」
『ユニコス副隊長だよ』
『死体を乗っ取って、ミルエ相手に大暴れしてるぞ』
『でもいくら大国防衛隊の副隊長とはいえ、あの魔力は無くない?』
『そこなんだよなぁ。ユニコス副隊長って魔法使えるけど、あそこまででっかいのは使えない筈だぞ』

 アノ+カスの説明を聞き、ラルゴは考察を進める。
 モザイクによって殺されてしまったユニコスはキング・ダイダロスの肉体として再利用されている。
 しかし現在のキング・ダイダロスが起こす魔法はキング・ダイダロスとユニコス両者と比べても異常な威力を誇っているらしい。
 推測するとトレヴィーニがキング・ダイダロスに力を与えたか、もしくはキング・ダイダロスがユニコス以外に力となる存在を喰らっているかのどちらかになる。
 後者の場合該当する人物が少なくとも一人存在する。その者の魔力ならば異常な威力も疑問に感じることは無い。しかしこの考察が当たっているかどうかは分からない為、この件は一旦保留だ。

「それで? これからどうするんだ?」

 カタストロが話しかけてくる。ラルゴは顔を上げて答える。

「俺達はここで待機だ。まぁ、北と西の誰かに通信を入れられれば……の話だけどな」
『できるよ。北エリアと西エリアにそれぞれ携帯電話持ってる人いるし』
『携帯電話無くても西エリアとは通信可能だ。豪鉄さんとエダムがいるんだからな』
「通信が出来るなら大丈夫だ。早急に二つとも通信可能にしてくれ」
『『了解!』』

 アノ+カスに命令し、北エリアと西エリアのグループに通信を入れ始めるラルゴ。
 意図が理解できないカタストロとフズが互いに顔を見合す中、ラルゴは近くにおいてある椅子に座り込んで理由を話す。

「俺はハイドラパーツの回収を行う事が出来た。もう一つの仕事を完遂させるだけだ」
「つまり?」
「サザンクロスタウンからの脱出だ。当然魔女の鍵でもあるナグサを連れてだから、人手がかなりいる」
「でもどうやってですか? あの魔女がそう簡単に出してくれると思いませんけど」

 そう話すラルゴは当然と言いたそうだ。
 しかし手段が分からないフズはラルゴに質問する。
 それに対し、ラルゴは不敵な笑みを浮かべてこう言い返した。

「サザンクロスタウンを何だと思っているんだ、お前は?」

 少々ムカつく言い方だが、ラルゴが何かを考えているのは間違いなかった。



次回「大合流」






幕間「グリーンズの一時」

 これは否定の魔女トレヴィーニが復活する前のお話。















  • 最終更新:2014-05-28 00:12:46

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